海外生活

アフリカのジブチに4ヶ月住んでみた体験談

縁あって去年の9月から4ヶ月間アフリカのジブチというところに暮らしていました。

ベトナムで夫と出会い2人とも「世界をみたい」気持ちが強かったので、ベトナム、台湾、アメリカ、ジブチ(アフリカ)といくつかの国に住んできました。

中でもジブチでの4ヶ月は濃い時間だったので、どんな感じだったか振り返りたいと思います。

 

ジブチってどんな国?日々の暮らしの様子は?

まずはジブチってどこ?という方がほとんどではないでしょうか^^;

私たちがジブチにいくことをきめたとき、周囲の人の反応は「ジブチ?それはどこにあるの?」といった感じでした。

私も自分たちが「アフリカの中でどこに行こう」と決めているときにはじめて詳しく知りました。

尚、日本語では「ジブチ」と呼んだり「ジプチ」と呼んだりするようです。

 

 

場所的にはアフリカ大陸の東側に位置していて、エチオピアやソマリアの隣にある小さい国です。

ソマリアの隣にありながら比較的治安が良いということで、日本の自衛隊やアメリカ・フランスなど各国の軍が基地を構えています。

 

赤道に近いので年中気温が高い場所です。

70年代に独立した国なのでまだ歴史は浅く、あまり「ジブチ人」というくくりではなく、出身の民族でルーツを示すことが多いように感じました。

「ソマリア人」「アファール人(エチオピアからの)」「アラブ人」…といった感じです。

 

世界中の軍人が多いことや、移民が多いことから、「ソマリア人」「それ以外」という分け方はせず、インターナショナルな雰囲気があると思います。

それでもアジア人は珍しいようで、町を歩いていると「チャイナ」と言われましたが^^;

 

公用語はフランス語とアラビア語ですが、現地の方はソマリ語やアファール語を使います。

90%以上の人がムスリムで、朝早くに大音量でお祈りの音楽が流れることもしばしばありました。

 

① 世界一暑い国

1年を通して暑い国ではありますが、中でも7、8月は40度を超える日もあるくらい暑いです。

一番暑くなる正午から夕方までは、できるだけ家やショッピングセンターなど涼める場所で暑さを凌ぐのが必須でした。

おそらくそんな事情があって、私と夫が勤めていたインターナショナルスクールでは、朝8時から午後1時までのスケジュールでした。

 

日本やアメリカで生まれ育った私と夫にとって、この暑さの中では冷房必須で、停電がおきたときにはとにかく復旧するのを待っていました。

現地の方々はその暑さでも冷房なしで過ごされていたりして、はじめは「私たちは冷房使って贅沢かな」と思っていましたが、「健康第一」と切り替えありがたく冷房を使っていました。

 

そういえば私がジブチに行くちょっと前に、ちょうど「世界くらべてみたら」という番組でジブチについて放送していました。

インターネットでジブチについて調べても、行ったことがある人が少なくあまり情報がなかったので、この番組をなん度も繰り返し見たのを覚えています。

暑すぎて、そこにいるだけで倒れそうな様子の人々を見て、「やっていけるのだろうか」と不安な気持ちだったのを覚えています。

 

凍らせて首を冷やすクールリングや、冷えピタ、扇風機と様々な冷却グッズを日本からもっていきました。

日本の想定よりもかなり暑いので、例えばキンキンに冷凍庫で凍らせたクールリングも外を歩くと5分、10分で水になってしまいました。

それでも冷房のないキッチンで料理しなければならないときなど、ここぞというときに役に立ってくれました。

 

 売っている食べ物は流動的

おそらくジブチは暑すぎて、農作物が自国で育ちにくいのだと思います。

ほとんどの食料品を輸入品に頼っているので、スーパーに行っても何が手に入るかはそのときによって全く異なります。

 

冷凍のものだと比較的安定して手に入るので、肉も野菜も冷凍食品が充実していました。

とはいっても輸入品が入ってくる大きなスーパーはメインのもので3つほどだったと思います。

近所にあるような小さなお店屋さんには冷凍ボックスに入るだけしか冷凍食品はなく、あとはクラッカーやパンなど常温保存できる食べ物がメインでした。

 

私は新鮮な野菜が売っているのを見つけたらできるだけ買って、自分でも冷凍保存していました。

パンも含めて自分の気に入ったブランドがいつもスーパーにあるとは限らないので、見つけたら買いだめします。

それでも常温が30度超えるので、アボカドなど日本では外に出しておくようなものも、常温だとすぐに腐ってしまいました。

パンなどでさえ、(何度かダメにしてしまってから)袋を開けたら冷蔵庫・冷凍庫保存していました。

日本でスーパーに行けば年中新鮮な野菜が手に入るのが、なんて幸せなことだったのだと思い知りました。

 

③ wifi、電気といったインフラが弱め

アメリカで暮らしていた頃、たまに落雷によってwifiがダウンしたり、水道管の破裂により断水状態になったりということがありました。

自分が経験したこともあるし、周りでも冬になると特にその手の話題を聞きました。

それを聞いて、日本では日常的にインフラがなくなることって滅多になかったな、と感じていました。

 

アフリカに行ってから尚更それを実感しました。

全体的にインフラが弱かったです。

雨が降ると雨水が道にたまりますが、排水口のシステムが整備されていないので、長い時は1週間ほどずっと水溜りが残っていることもあります。

水溜り、というか洪水状態です。

この中をジャブジャブ歩くか(できるだけ遠回りして水に入らないようにするけど)、半分浸かりながら車が通っていました。

 

 

例えば電気供給が一定期間とまることが毎週のようにありました。

事前に通知があることの方が稀で、かかっていた扇風機が「ヒューン」と音を立てて電気と共に切れるのをみて、「電気が止まった」とわかります。

それが5分で復旧することもあれば数時間戻らないこともあります。

学校で学生を抱えているときにそれが起きると、子供達は暑くて暑くて授業になりませんでした。

そういうときは大体、地域一帯がとまっているので、家に帰ると冷凍庫の中身などが一度ドロドロになって固まった形跡があることもしばしば…。

 

またインターネットの接続も不安定でした。

ジブチの電波はテレコムという一つの会社一強で、しかもそれもそんなに強くなかったです。

天候など何かのはずみで一度基地局(?)が落ちてしまうとと、ネットなし生活が平気で何日も続く状況でした。

現にジブチを出国する2日前に電波が落ちましたが、出国当日空港についてもスマホのデータが復旧しませんでした。

フライトの遅延やキャンセルの情報が一切調べられなくなり、いまの時代で情報が遮断される怖さを身をもって経験しました。

 

幸い、学校やホテルなどある場所にはwifiがあったので、電波が落ちたときにはそのスポットに行くと繋がることもありました。

ただwifi自体があまり一般の家庭や店に普及していないし、あったとしても強くなかったです。

 

私は昔ベトナムで携帯をなくしてデータが全部消えて以来、常に写真とビデオをgoogle photoにバックアップとっています。

しかしジブチでは、wifiスポットを含めて写真とビデオをアップロードほど強い電波がなかったので、4ヶ月間のデータはずっとスマホだけにためていました。

アプリのアップデートなども重すぎてほとんどできない状態でした。

 

日本に帰国するときにドバイの空港で乗り換えだったのですが、そこで無料wifiが使えたときに嬉しくて泣きそうになりました。

そこでは写真アップロードまでの時間がなかったので、日本の空港についてから全ての写真データのバックアップをとりました。

ものの5分くらいで撮りためた写真とビデオがアップロードできたときには「またデータが使える生活の戻った」と感動したのを覚えています。

 

④ 人はフレンドリーで好奇心旺盛

そんな、脆弱なインフラ事情を話しましたが、人々は「苦しい」「大変だ」と日々を過ごしているわけではありませんでした。

むしろジブチ人から言われたのは「自分たちにとってこれが当たり前だから、『大変』『不便』と感じないが、ここで育ってない外国人がここで暮らすのは大変だろう」とのことでした。

 

学校のスタッフも、家の修繕に来てくれるスタッフも、ジブチ人は勤勉で働き者が多いと感じました。

失礼ながら、「暑い国だし人々はのんびり暮らしているのかな」と先入観をもっていましたが、良い意味で覆されました。

ただ時間にはルーズというか、時間の概念は違うな、と感じました。

イスラム教で「インシャラー」という言葉がありますが、直訳すると「神のご意志のままに」といったような意味だそうです。

基本的に自分たちでコントロールできない神さまの気分次第だから、口約束が実現するかどうかはその日の神様の機嫌次第、といった考えがあるようなのです。

なので「明日の午後、修理に来ます」といって2日後になっても来ていない、といったことはありました^^;

そこは文化の違いなので仕方がないかな、ととらえていました。

 

またジブチ人は社交的な人が多いと感じました。

町を歩いていると、道端でよく人が話し込んでいるのを見かけたものです。

ちなみに私はよく「チャイナ」と言われていました。

 

実は私は、はじめは「チャイナ」と言われるだけで「私は中国人じゃないし、たとえ私が中国人だったとしても、チャイナという名前じゃない!」と腹を立ててしまっていたのです。

でももしかしたら彼らは「話したいけど、『チャイナ』という以外に話しかける方法がわからない」という感じだったのかな?と捉えだんたんと応戦できるようになってきました。

自分に余裕があるときに「ノー、ジャパン!ジャポネ!」といってみると「オー!ありがとう!いらっしゃいませ!」など言われることもありました。

実際、話してみると他意のない様子の人もたくさんいました。

 

写真はお土産物屋さんでのお店の人と撮ったものです。

私が日本から来たというと、「日本語を学びたい。うさぎは日本語でなんというの?」と聞かれました!

(夫と一緒だったので、フランス語を夫に訳してもらってコミュニケーションとっていました。)

「なぜうさぎ?」と思いつつ「うさぎ」と教えると、彼は一生懸命発音練習していました。

聞くと日本人のお客さんもときどきお店に来るので、その度に日本語を教えてもらっているといっていました。

 

そのお土産物屋さんの彼は「言語を学ぶのが好きだ」といっていました。

ジブチ人はフランス語、アラブ語、ソマリア語、アファール語、と常に多言語に囲まれています。

当時フランス語を勉強するのにヒーヒーいっていた私は、素直にすごいなと尊敬の念をもちました。

 

⑤ ムスリムの国で金土が休日

ジブチは国の90%以上がイスラム教徒の国です。

そしてイスラム教では金曜日が礼拝の日なので、それに伴ってジブチの休日は金曜と土曜です。

特に金曜はお祈りのため本当に何もかもしまってしまうので、病院や仕事場に行くにもできるだけ木曜までにしておかないと大変でした。

 

ジブチに行って1ヶ月が経っても、働く日が日曜から木曜というのがどうしても慣れにくかったです。

生まれたときから「土日が休み」と刷り込まれた概念を大人になって急に変えるって本当に難しいなと感じました。

木曜は「今日働けば明日は休み」、土曜の夜は「明日から仕事…」という感じです。。。

 

日中は仕事に生活にで精一杯でしたが、休日になるとよく夫とカフェにいって過ごしました。

そこでジブチにいって感じるカルチャーショックなど共有していました。

そのときのことで夫からの視点が私にはないもので印象的だったことをご紹介します。

 

私の夫はイスラム教徒の家で育ったムスリムです。

アメリカで生まれ育った夫は、「ジブチではじめて自分がイスラム教のことを説明しなくても、皆すでに知っているという体験をした」と嬉しそうに話してくれました。

アメリカにいても、ベトナムや日本にいても、イスラム教について知らない人が大多数だったし、それが当たり前だと思っていたところがあったそうです。

でもジブチではムスリム同士ということで話が通じやすく、彼の家族の出身地パキスタンやインド映画などのことも、ジブチの人はよく知っているようだったそうです。

自分のルーツや宗教に「所属感」というか「一体感」を感じる経験がジブチで体験できてよかった、といっていました。

 

目から鱗というか、なるほど、と思いました。

日本人の私は、日本に帰れば他の日本人と文化や流行のドラマを共有できるし、それが当たり前と思っていました。

しかし、アメリカのような多民族国家に住む人たちにとっては、そういう機会が貴重であることもあるのだと、自分の知らない視点を知った気持ちになりました。

私たち夫婦にとってジブチでの暮らしを体験できたことは、いろいろと人生観を変えてくれる貴重な経験となりました。

 

まとめ

今回は「ジブチ」という国についてご紹介させていただきました。

全然語り尽くせていない気もしますが、ジブチってこんな感じなんだ、と興味をもつきっかけになれば幸いです。

① 世界一暑い国

② 売っている食べ物は流動的

③ wifi、電気といったインフラが弱め

④ 人はフレンドリーで好奇心旺盛

インターナショナルな雰囲気

 

アメリカ、アジア、ヨーロッパとかなら旅行で行くことはあっても、アフリカ大陸はなかなか普通に暮らしてて行く機会が少ないと思います。

私はアメリカのミネソタで交換留学をしていた頃、ソマリア人の移民に英語を教えるボランティアをしていました。

そのときの彼らとの交流がずっと心に残っていました。

彼らは遠く離れた祖国ソマリアを思っては「家族に会いたい」「素晴らしい国なんだ」と口々に話してくれました。

今回ソマリアまでは行けませんでしたが、ソマリア人がたくさん住むジブチに縁あって行くことができて本当に嬉しかったです。

出会った人の出身の場所に行けると、よりその人たちの文化や背景が想像しやすくなって、まるで出会いを通して自分の世界が広がると感じます。

またいつか行けるかはわからないけど、一つ一つ人生の機会を逃さず、成長のチャンスにできるよう日々生きていきたいです!

 

-海外生活
-, ,

© 2024 日本語教師 / 国際交流アドバイザー みさこ Powered by AFFINGER5